中学受験をやめるべき3つの理由とは?
中学受験をやめるべき理由1:心身ともにまだ「受験」する段階ではない
中学受験をやめるべき理由2:やらされてる度合いがほぼ100%
中学受験をやめるべき理由3:他に情熱を傾ける対象がある
中学受験は、大学受験と違い、現役の小学生(小学6年生)だけが受ける
ものです。つまりハッキリと「12歳の受験」(なかには11歳も)です。
よく言われる話ですが、「18歳の受験」とは違います。
12歳の小学6年生はいわばまだ「子供」です。
そういった観点からすると、中にはたとえ小学校6年生の秋や冬であっても、
「中学受験をやめる」という選択肢をとってもいい(とった方が良い)
ケースがあるのは事実でしょう。
もちろん、親と子供にやる気があって、目的もはっきりしていれば、
中学受験を一所懸命にやるのは大いに結構な事だと思います。
ただ、個々の12歳にはいろいろな状況もあるでしょう。
という事で、
【中学受験をやめるべき3つの理由とは?】
という視点で記事をまとめました。
中学受験をやめるべき理由1:心身ともにまだ「受験」する段階ではない
小学校6年生・12歳は、精神的・肉体的な発達にかなりの個人差があります。
中には、そもそも「机に長時間向かう」というレベルから厳しいという子も
いるでしょう。
また、気持ちが前に向かわない、勉強するという事に関して踏ん張れない
という子も多くいそうです。
もちろん、逆に、12歳の段階でかなり老成して、感情を押し殺し、粛々と
問題と正対し、ミスを極小にして偏差値を少しでも高くするといったタイプの
勉強ができる子もいるでしょう(かわいらしいかどうかは微妙ですが…)。
そのどちらにせよ、12歳の段階では「発達の差」が大きいのは間違いありません。
そうすると、心身の発達がゆっくりの子は中学受験ではかなり不利です。
学業に関して、生来は同じくらいのポテンシャルを持っていても、12歳の段階では
若干発達が遅いために、同レベルのはずの子よりもできない、というパターンは
たくさんあります。
例として身長で考えると分かりやすいかもしれません。
20歳の段階で同じ170㎝になる子がいたとして、12歳の時に全く同じである事は
逆に少ないでしょう。片方は145㎝で片方は160㎝かもしれません。
その差は1割くらいあります。
勉強面で1割の差があったら、偏差値だと10くらい変わりそうです。
そうすると、同じくらいの学力のはずが、合格できる中学校にはかなりの差が
つくことになります。
つまり、小学校6年生の段階で、明らかに受験勉強をするレベルに到達していない
子に、無理やりやらせるのは、結果として、その後の伸びをつぶす可能性があります。
まあ、この辺りも、11歳から12歳でどんどん変わってくる(成長していく)ものな
ので、見極めが難しいと言えば難しいですが・・・。
中学受験をやめるべき理由2:やらされてる度合いがほぼ100%
「理由1」と重なる部分もありますが、
「やらされてる度合いがほぼ100%」
の子も、中学受験を辞めるという選択肢をとっても良いかもしれません。
完全に受け身(実質、嫌々)で中学受験をしている場合、仮にどこかの
中学に合格したとしても、「その後」がかなり心配になるからです。
よく言われる「深海魚」(難関中学に何とかかんとか入学したものの、勉強
についていけず、成績が深海魚のように下位をさまようといった意味合い)
になるケースです。
逆にやる気が100%という事はほとんどないとは思いますが、本人にこれっ
ぽっちもやる気がなく、親のエゴでやらされてるという場合は、かなり
危険だと思います。
このパターンですと、基本的に成績はある一定の所で頭打ちになります。
ただ、この辺りもだんだん自覚が芽生えてくるというケースもよくあります。
「1月31日にようやく本気になった!」
みたいな、笑えるのか笑えないのか分からない子もいるとかいないとか。
いずれにせよ、受験生本人に微塵もやる気が見られず、親の狂気に引っ張られて、
嫌々中学受験をやっているケースは、どこかで反動が来る可能性がありますので、
状況によっては中学受験をやめるという選択肢も残しておいた方がいいかも
しれません。
中学受験をやめるべき理由3:他に情熱を傾ける対象がある
最後のパターンは、 やや前向きです。
良くも悪くも、中学受験をして学歴をつけるという方針を選びそれなりの
結果を得た場合、その後の人生の選択肢を広げやすいのは事実だと思います。
一方で、多くの場合、「勉強・学歴以外には特に何もない」ケースがほとんど
でしょう。
おそらく、世の中の大部分はそういった大人で形成されています(これも良くも
悪くも)。
ただ、もし仮に、12歳の小学校6年生の段階で、自分が人生を賭けられる、情熱を傾ける
対象がハッキリとあるのであれば、僕は、12歳・小学校6年生であれば、中学受験をやめて
そちらを選ぶ方が基本的には良いと思います。
もちろん、その対象に対する情熱が本物であればという前提ですが。
やや極端ですが、分かりやすい例としては、将棋の藤井聡太さんがありますね。
藤井聡太さんは高校を中退して棋士一本でやっていますので、学歴としては
中卒になります。
さすがに、ここまで成功するというのはかなりのレアケースですが、大事な事は
「自分が本当にやりたい事がある」
という事実です。これまた、残念ながら多くの大人はそれに出会えないまま社会人
として生きているケースが多いでしょう。
ですので、もし仮に小学校6年生・12歳の段階で、中学受験をやめて時間を使いたい
くらい情熱を傾けられる対象があるのであれば、僕はそちらを選ぶことを勧めます。
もちろん、その対象が将来の安泰を約束してくれるわけではないでしょうし、むしろ
逆になる事もあるかもしれません。
それでもそういった対象は二度と現れないかもしれませんし、そもそも「しょせん受験」
です。大学受験なら、いつでも何度でもできます。
た・だ・し、それほどの対象でもないけれど、「なんとなく中学受験がきつい」から
という逃げの理由であればダメですけどね…。
もう一つ、中学受験系の実例があります。
山下真由子さんという(2022年現在)京都大学数理解析研究所で助教をされている
方がいます。この人は、私立女子中学の名門・桜蔭に通っていましたが、高校生の時
に退学して、通信制の都立・新宿山吹高校に転学しました。
それこそ「常識」的に考えれば、どうせ大学受験をして世の中に出ていくなら、
桜蔭卒という肩書も大事ですので、そのまま桜蔭を卒業して・・・と親目線では思って
しまいます。
が、どうもこの方は、「数学が死ぬほど好き」だったようで、数学に没頭するために、
あえて桜蔭を退学して通信制の学校に移ったようです。
その後、東大工学部に入学し、飛び級を重ねて、東大大学院修士、東大大学院博士
とキャリアを積んで、2019年9月から京都大学数理解析研究所の助教になっています。
2022年現在まだ26歳くらいだと思われます。
東大卒ですから、学歴というルートには乗っていますが、情熱を傾ける対象を高校生で
見つけて、桜蔭を退学しているという事実はやはりなかなか強烈です。
だって我々凡人の発想では、「場合によっては中卒になっちゃうから、とりあえず桜蔭を
卒業して」と思いそうです…。
ただ、おそらく山下真由子さんにとっては、桜蔭を真面目に卒業するよりも、その1年
なり2年間を数学に没頭する時間にしたかったのでしょう。あるいはせずにはおれなかった
のでしょう。
繰り返しになりますが、もし仮にそういった対象を見つけられるならば、それは
「受験」よりも大事な事かと思います。
もし仮に、12歳の小学校6年生の段階で、自分が人生を賭けられる、情熱を傾ける
対象がハッキリとあるのであれば、僕は、12歳・小学校6年生であれば、中学受験をやめて
そちらを選ぶ方が基本的には良いと思います。
まとめ
中学受験をやめるべき理由1:心身ともにまだ「受験」する段階ではない
中学受験をやめるべき理由2:やらされてる度合いがほぼ100%
中学受験をやめるべき理由3:他に情熱を傾ける対象がある