灘の国語・ガザの子どもの詩・模範解答+テキスト化・そもそもパレスチナ問題とは?灘中学・2026年度

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灘中学の国語・ガザの子どもの詩・模範解答+テキスト化・そもそもパレスチナ問題とは?2026年度

2026年度灘中の国語の問題(ガザ地区パレスチナ人の子どもの詩)

2026年度灘中の国語問題のテキスト(ガザ地区パレスチナ人の子どもの詩)

三 次のA・Bは、二〇二三年からパレスチナで起きていることをきっかけに書かれた詩です。これを読んで、後の問いに答えなさい。

A おうちってなに?

ムスアブ・アブトーハー/山口勲 訳

おうちっていうのはね……

それは通学路に立つ木立がつくる日陰 根っこから木をぬかれる前のこと。

それはおじいちゃんおばあちゃんの結婚式の白黒写真 壁が粉々にされる前のこと。

それはおじいちゃんがお祈りにつかう敷物、冬の夜は何十匹ものアリがその下で休んでいたんだ

盗まれて博物館に入れられる前のこと。

それはかまど、おかあさんがパンを焼き鶏肉を焼いていたんだ 爆弾が家をがれきにする前のこと。

それはカフェ、サッカーの試合を見てふたり遊び――

息子が止める。たった三文字の言葉ひとつでいま言ったことぜんぶ受け止められるの?


B おなまえ かいて ゼイナ・アッザーム/原口昇平 訳

あしに おなまえかいて、ママ

くろいゆせいの マーカーペンで

ぬれても にじまず

ねつでも とけない

インクでね

あしに おなまえかいて、ママ

ふといせんで はっきりね

ママとおくいの はなもじにして

そしたら ねるまえ

ママのじをみて おちつけるでしょ

あしに おなまえかいて、ママ

きょうだいたちの あしにもね

そしたらみんな いっしょでしょ

そしたらみんな あたしたち

ママのことだって わかってもらえる

あしに おなまえかいて、ママ

ママのあしにも

ママとパパの おなまえかいて

そしたらみんな あたしたち

かぞくだって おもいだしてもらえる

あしに おなまえかいて、ママ

すうじはぜったい かかないで

うまれたひや じゅうしょなんて いい

あたしはばんごうになりたくない

あたし かずじゃない おなまえがあるの

あしに おなまえかいて、ママ

ばくだんが うちに おちてきて

たてものがくずれて からだじゅう ほねがくだけても

あたしたちのこと あしがしょうげんしてくれる

にげばなんて どこにもなかったって

ガザでは、自分や子どもが殺されても身元がわかるよう、子の名前

をその足に書くことにした親もいる。―2023年10月22日CNN報道

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問い

問一 Aの詩の「それは~」で始まる部分は、それぞれ「おうち」に

ついて説明したものです。この部分の説明として最も適当なものを

次のア~オから選び、記号で答えなさい。

かつての近代化される前の古い生活の終わりを描き、戦争後に始まるはずの近代的な生活に夢をはせている。

戦争前の日常の幸福を身近な存在を通して描くと同時に、戦争によって破壊が進んでいく様子が描かれている。

敵の日常を具体的に描き、それらをひとつひとつていねいに破壊していく味方の軍隊の戦い方をたたえている。

亡くなった人びとの思い出をたどりつつ、それが戦争によって思い出となっていったさまをなつかしんでいる。

身近だった愛する人びとや生活が、戦争によって全て失われたことをはげしいいかりをこめてうったえている。

問二 ——線部1「息子が止める」とありますが、息子はなぜ止め

たのですか。理由を答えなさい。

問三 ——線部2「ママのあしにも/ママのとパパの おなまえか

いて」とありますが、この時の家族の状況はどのようなものですか、答えなさい。

問四 ——線部3とありますが、どのような人が「おもいだ」すのですか、答えなさい。

問五 ——線部4「あたし かずじゃない おなまえがあるの」に

込められている思いはどのようなものですか、答えなさい。

問六 ——線部5「あたしたちのこと あしがしょうげんしてくれ

る」とはどういうことですか、答えなさい。

2026年度灘中の国語問題の模範解答(ガザ地区パレスチナ人の子どもの詩)

【模範解答】

問一 答え:イ

解説: 「木立」「白黒写真」「敷物」「かまど」といった身近な日常の風景を挙げつつ、それらが「ぬかれる前」「粉々にされる前」「がれきにする前」と表現することで、戦争による破壊の対比を明確に描いています。

問二

答え:(例)「おうち」という言葉に込められた膨大な思い出や、失われたものの重みを、

わずか三文字の言葉(「おうち」)だけで語り尽くすことはできないと感じたから。

解説: 「たった三文字の言葉ひとつでいま言ったことぜんぶ受け止められるの?」という反語的な問いかけから、言葉の限界と、失われた日常の重さを表現します。

問三

答え:(例)いつ爆撃を受けて死んでもおかしくない、死と隣り合わせの極限状態にあり、離ればなれになっても家族であることを証明しなければならない状況。

解説: CNNの報道注釈にある通り、遺体の身元確認(家族の照合)のために足に名前を書くという、非常に悲痛な背景を読み取ります。

問四

答え:(例)爆撃のあとで遺体を見つけた人や、生き残って死者を確認する人々。

解説: 「あしがしょうげんしてくれる」という後の文脈からも、死後に自分たちを発見する第三者を指していると考えられます。

問五

答え:(例)自分たちは単なる「死者数の数字」ではなく、名前があり、人生がある一人の人間として尊重されたいという思い。

解説: 戦争報道では「死者数◯◯人」と数字で処理されがちですが、一人ひとりに尊厳(名前)があることを訴えています。

問六

答え:(例)爆撃で建物が崩れ、体が傷ついたとしても、足に書かれた名前が自分たちの存在や、そこに逃げ場のない市民がいたという事実を証明してくれるということ。

解説: 「しょうげん(証言)」という言葉には、自分たちの死が単なる事故ではなく、逃げ場のない場所で起きた惨劇であることを世に伝えたいという意志が込められています。

 

そもそもパレスチナ問題とは?

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「パレスチナ問題」は、中東にある一つの土地をめぐって、「ユダヤ人」(イスラエル)と

「アラブ人(パレスチナ人)」の二つのグループが、「ここは自分たちの国だ」と言い合って

続いている争いです。

大昔、その土地にはユダヤ人が住んでいましたが、一度バラバラに離れ離れになりました。

その後、その土地にはアラブ人が長く暮らすようになりました。

しかし、第二次世界大戦でひどい迫害を受けたユダヤ人が「自分たちの国を作ろう」

とその土地に戻ってきたことで、争いが始まりました。

1948年にイスラエル(ユダヤ人の国)という国ができると、周りのアラブの国々が

反対して「中東戦争」という大きな戦争が何度も起きました。

この戦争でイスラエルが勝ち、土地を広げたため、もともと住んでいたパレスチナ人

は家を追い出され、「難民」になりました。

今も、パレスチナの人々は高い壁で囲まれた狭い場所に閉じ込められたり、

攻撃を受けたりしています。

灘中学が国語の問題にとりあげた詩にある「足に名前を書く」という行動は、いつ爆弾が

落ちてきても「自分という人間がいたこと」を忘れないでほしいという、追い詰められた

人々の心の叫びなのです。

 

灘中学校 2026年度用 10年間スーパー過去問(声教の中学過去問シリーズ 601)