三大随筆(『枕草子』『方丈記』『徒然草』)
随筆:心に浮かんだ事、見聞きした事などを筆にまかせて書いた文章。エッセー。
『枕草子』11:清少納言11の随筆集。平安時代中期(11世紀初頭)。
『方丈記』11:鴨長明11の随筆。京都の山に隠棲して方1丈(3m四方)
の草庵で書いた。鎌倉時代前期(1212年)。人生の不遇、無常。日本を代表する随筆。
『徒然草』11:吉田兼好(卜部兼好・兼好法師)11の随筆。鎌倉時代末期(1331年頃)。
名随筆。無常・死
『枕草子』(清少納言)
清少納言(966頃~1025頃)11の随筆集。平安時代中期(11世紀初頭)。
清少納言11:一条天皇の皇后・定子(ていし)5に仕える。紫式部のライバル。
漢詩の知識などもある才女。
「春はあけぼの(日の出)」「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬は早朝(つとめて)」
「いとをかし」
『枕草子』
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、
二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、
いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも
いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、
ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。
清少納言の歌で百人一首に採用されているもの
「夜こめて 鳥のそらねは はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ」
『方丈記』(鴨長明)
鴨長明像
鴨長明(1155~1216)11の随筆。京都の山に隠棲して方1丈(3m四方)
の草庵で書いた。鎌倉時代前期(1212年)。人生の不遇、無常。
日本を代表する随筆。
「ゆく河の流れは、絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶ、
うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しく、とゞまりたるためしなし。
世中にある、人と栖(すみか)と、又かくのごとし。
たましきの都のうちに、棟を並べ、甍(いらか)を争へる、高き卑しき人の
すまひは、世々を経て尽きせぬ物なれど、是をまことかと尋(たず) ぬれば、
昔しありし家はまれなり。或は去年焼けて今年作れり。或は大家滅びて小家と
なる。住む人も是に同じ。所もかはらず、人も多かれど、古見し人は二三十人
が中に、わづかに 一人二人なり。朝に死に、夕に生るゝならひ、たゞ水の泡に
ぞ似たりける。」『方丈記』の冒頭
方丈記の「河(川)」は京都の「鴨川」です。
鴨長明と同時代の白河上皇が思い通りにならないものとして
3つあげた「サイコロの目」「山法師」「鴨川の水」と同じ
鴨川です。
https://www.youtube.com/watch?v=l241k-MQPTo
『徒然草』(吉田兼好(兼好法師・卜部兼好))
吉田兼好(兼好法師・卜部兼好)(1283~1350)11の随筆。
鎌倉時代末期(1331年頃)。名随筆。無常・死。
「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、
そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」(冒頭)
「世は定めなきこそいみじけれ。」(この世は無常だからこそいい)
「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。」(初心者はひとつの事に集中しなさい)
「速やかにすべきことをゆるくし、ゆるくすべきことを急ぐなり」
「世の人の心惑はす事、色欲には如かず。人の心は愚かなるものかな。」
「一日の命、万金(ばんきん)よりも重し。」
「友とするに悪(わろ)き者七つあり。一つには高くやんごとなき人。二つには
若き人。三つには病なく身強き人。四つには酒を好む人。五つにはたけく勇め
る兵。六つには虚言する人。七つには欲深き人。」
「よき友三つあり。一つには物くるる友。二つには医師(くすし)。
三つには智恵(ちえ)ある友。」
まとめ―三大随筆(『枕草子』『方丈記』『徒然草』)
『枕草子』11:清少納言11の随筆集。平安時代中期(11世紀初頭)。
『方丈記』11:鴨長明11の随筆。京都の山に隠棲して方1丈(3m四方)
の草庵で書いた。鎌倉時代前期(1212年)。人生の不遇、無常。日本を代表する随筆。
『徒然草』11:吉田兼好(兼好法師)11の随筆。鎌倉時代末期(1331年頃)。名随筆。無常・死
中学受験上のポイントは、
「3大随筆の名前+著者名」
「時代」
までが頭に入っている事が基本です。
難関校であれば、文学史的な意味や実際の内容を
ある程度知っておいた方が良いでしょう。
例えば、清少納言と紫式部が同時代の人で、ともに天皇の后に
仕えていたとか。
例えば、有名な書き出し・冒頭など。