中学受験の二つの最重要教科「国語」と「算数」は抽象化について学んでいる
という抽象的な見方ができます。
極端に言えば、学校教育とは「抽象」という概念を具体的に学んでいる
とすらいえます。
だから、具体と抽象をうまく行き来できる子は結果として成績が良く、
「賢い」とみなされる事になります(少なくとも偏差値的には高くなります)。
具体と抽象
出典:『具体と抽象』p16
抽象化とは、「数」と「言葉」を使って、「まとめて同じ」
という考え方をする事です。
具体は、個別の事象(例:りんご、みかん)
抽象は、具体を共通の特徴でまとめて一般化したもの(例:食べ物、果物)
(基本的には)多数の具体と(まとめて一つにした)抽象という関係です。
具体は人による解釈・認識が同じになりやすいです(例:りんご)
抽象は、解釈の自由度が高いので人によって認識は変わりやすいです(例:食べ物)
参考文献
抽象化は人間(知能)の特徴:数と言葉
「抽象化」(まとめて一般化する)は人間に特有(動物はしない?)です。
抽象化する能力を具体的に言うと、「数」と「言葉」です。
「抽象化のない世界」⇔数と言葉のない世界
数と言葉を成立させる根本は、「まとめて同じと考える」(抽象化する)ことです。
例)りんご2個、猫二匹、本二冊→まとめて同じ部分は「2」
例)鮪(マグロ)、秋刀魚(さんま)、鰹(かつお)→まとめて同じ部分は「魚」
「魚は海(川)で泳ぐ動物」という抽象化した表現(言葉)が使えるのは人間
のみです。
そもそも、鮪(マグロ)という名前も、同じ種類の魚を「まぐろ」と抽象化して
呼んでいます。
具体(下部)と抽象(上部)の図解例
・複数の「具体」をまとめたものが「抽象」
・状況によって「具体」にもなり「抽象」にもなる
(鮪は魚の具体であり、同時に、一匹ずつの鮪の抽象でもある)
犬と人間が会話したら
人間「ごはん食べる?」
犬「ごはんって何?」
人間「ほら、鮪の缶詰とかだよ」
犬「鮪?缶詰?」
人間「(鮪を見せる)」
犬「分かったワン!」
抽象化=枝葉を切り捨て幹(本質)を見る
特徴を抽出するという事ですね。
中学受験的に見てみましょう。
算数で使う「数」というのはまさに抽象化の象徴です。
抽象的な概念の「数」をきれいに操れる子が算数の成績が良くなるのは
当然です。ルールに基づいていかに抽象的に物事を「算数的に」把握で
きるかという事ですね。
歴史の例で考えてみましょう。
●具体:1868五榜の掲示、1872学制・鉄道・富岡製糸場・太陽暦
(1872年のゴロあわせ:がくせいがてつどうつくってとみたいよう)
●抽象:「富国強兵・殖産興業・西洋化(文明開化)」
明治時代は抽象的には「富国強兵・殖産興業・西洋化(文明開化)」の時代です。
(より具体的には「明治」を3つに分けて理解するのが良いかと思います)
それを具体的に表すと、1868五榜の掲示、1972学制・鉄道・富岡製糸場・太陽暦
といった事実になります。
当たり前ですが、抽象的な理解をした上で具体を覚えていくと、速いですし、忘れな
いですし、そもそもが「つながります」。
それが抽象化最大のメリットとも言えます。
複数のものを共通の特徴(本質)でまとめて「同じ」とみなし、
一を10でも100でも広げていけます。
基本的にすべての教科で、
具体と抽象をうまく行き来できる子は結果として成績が良く
なります。
国語なんて典型的ですね。
一つ一つの文(〇から〇まで)が集まって、全体で何をどのように言っているのかを
具体と抽象を行き来しながら理解するという競技です。
まとめ
以上、
具体と抽象―国語・算数
でした。
中学受験の二つの最重要教科「国語」と「算数」は抽象化について学んでいる
という抽象的な見方ができます。
極端に言えば、学校教育とは「抽象」という概念を具体的に学んでいる
とすらいえます。
だから、具体と抽象をうまく行き来できる子は結果として成績が良く、
「賢い」とみなされる事になります(少なくとも偏差値的には高くなります)。
多数の具体例を抽象化(本質を抽出)し、対象の教科(世界)を理解していく
作業が勉強であると、抽象的にまとめてみました。
チャオ
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