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「時事問題」は中学受験の社会では必須です。
この記事では、2020年現在、デモ等で揺れる「香港」について
まとめました。香港といえば、「観光地」「夜景」で有名ですが、
「中学受験の時事問題」という意味では「歴史」「一国二制度」
「中国との関係」を理解していきましょう。
先に「香港」についてまとめておくと、
【中学受験の時事問題としての『香港』まとめ】
●アヘン戦争(1840年~42年)でイギリス領土になる
●1997年イギリスから中国に返還される(香港返還)
●「一国二制度」(1997年~)のもと中国の一部(特別行政区)として現在にいたる
●2020年5月、中国の全人代(全国人民代表大会)が「香港国家安全維持法」の制定方針を決定
(2020年6月30日正式に施行される)
●香港の「自由」は徐々に奪われてきている
となります。
香港の「100万ドルの夜景」(画像出典:https://www.tour.ne.jp/matome/articles/295/)
2020年5月29日「香港国家安全維持法」制定方針
香港国家安全法は、香港での分離や政権転覆、テロリズム、外国からの介入を阻止のが目的だとされている。 pic.twitter.com/uHpCA4WasM
— ロイター (@ReutersJapan) May 29, 2020
2020年5月28日、
中国の全人代(全国人民代表大会)が香港での反体制的な
言動を取り締まる「国家安全法制」の制定方針を決定しま
した。
中学受験を目指す小学生の皆さんが知る必要があるのは、
●(まずは)「香港」の場所→中国南東部
●「香港」の歴史(近現代史)→イギリス領から1997年に中国に返還
●「香港」は「中国」なの?独立した国なの?→中国の「特別行政区」
●「一国二制度」って何?→(1997年の返還時)中国「香港の資本主義は50年は変更しない」
といった所です。
その上で、上記のニュース「全人代が国家安全法制を採択」の持つ意味を
理解できれば良いでしょう。具体的に言えば、新聞記事を読んで、書いてあ
る事が分かるというイメージです。
香港の場所
香港は、中国の南東部にある海沿いの街です。
面積は1106平方キロメートルですので、東京都の半分くらいです。
人口は約752万人なので(1400万人弱の)東京都の半分くらいですね。
香港の紋章
「香港」の歴史(近現代史)
1)アヘン戦争(1840~42)の南京条約でイギリスに香港割譲
2)香港返還:イギリスから中国に(1997年)
3)一国二制度(1997年~・・・・・)
4)2014年雨傘運動、2015年書店員失踪、2017年直接選挙
2019年~20年デモ、2020年5月「国家安全法制」
5)2020年5月28日、中国の全人代(全国人民代表大会)が香港での
反体制的な言動を取り締まる「国家安全法制」の制定方針を決定
(第二次世界大戦(1939~45)後の「世界」はアメリカ・イギリス等の
「資本主義陣営」とソ連・中国等の「社会主義・共産主義陣営」に分かれて
争っていた「冷戦」時代があったことを知っていると理解がしやすいかもしれません)
1997年の「香港返還」(イギリス→中国)以降の香港の歴史は、資本主義体制(自由主義)
でいたい香港市民と、香港をはやく中国の一部として完全に取り込みたい中国共産党との
せめぎ合いとみる事ができます。
その上で、徐々に香港の(資本主義体制的な)自由は奪われていき、「一国二制度」は
形骸化(形だけで中身がない)し、「国家安全法制」(2020年5月制定が決定)によって、
法的にも中国共産党の支配が香港に及ぼうとしていると言えそうです。←いまここ
「香港」は「中国」なの?独立した国なの?→中国の「特別行政区」
香港は1997年にイギリスから返還されて以来中国の一部です。
「中華人民共和国香港特別行政区」
となります。
「特別行政区」というのがポイントです。
中国の一部ですが、「特別行政区」という特殊なポジションを
与えられています(理由は下にまとめてあります)。
それが「一国二制度」です。
「一国二制度」って何?
香港における「一国二制度」とは、中国共産党が支配する中国の
一部ではあるけれど、香港では「資本主義体制」等の制度を認める
といったものです。
(歴史的な経緯は上にまとめたとおりです)
1997年にイギリスから中国に返還された際、香港は大変発達
していました(今でもそうです)。
一方で中国は(当時は)それほどでもありませんでした。
ですので、そのまま「香港は中国に丸呑みされる」となると、
多くの優秀な人材や金持ち、海外の企業等が香港から逃げてし
まう危険性がありました。
そのため(だけではないですが)に制定されたのが「一国二制度」
です。
1997年の「香港返還」時に中国は
「香港の資本主義と生活様式は50年間変更しない」
と表明しました。
しかし、徐々に徐々に香港の自由は蝕まれ、ここ数年はデモに次ぐデモ
が起きています。そして、2020年5月、中国の全人代(日本の国会に相当)
は香港での反体制的な言動を取り締まる「国家安全法制」の制定方針を決定
しました。
これは、「一国二制度」の実質的な崩壊であり、香港も他の中国の諸都市と
同じく、中国共産党のコントロール化に置かれる可能性が極めて高いという
ことになります。
もちろん、中国共産党側は「(約束どおり)一国二制度は維持しているし、
今後も香港の高度な自治は変わらない」と言っています・・・。
「香港問題」の背景にはアメリカvs中国の覇権争い
「香港」のデモや民主化、それを抑えようとする中国共産党の構図は、
もちろん【中国と香港の関係】です。
ですが、それだけではありません。
2020年現在、世界の覇権をめぐって【アメリカvs中国】という形が
形成されつつあります。
中国は共産党による一党独裁国家です。
アメリカは資本主義陣営の親分のようなものです。
もともと仲はよくないですが、最近は世界の覇権をめぐって争いが
かなり激化しています。
そういった意味では、「香港」の民主化運動の背後にアメリカがいる
のは間違いありません。また、中国当局も、アメリカをにらみながら
「香港問題」に対処しているのもまた事実です。
中学受験用の時事問題としては、「アメリカvs中国」の構図が香港問題
の背後にあるんだ~程度で良いと思います。ただし、両国のトップ(2020年7月
時点)は顔と名前をきちんと覚えておきましょう。
ドナルド・トランプ大統領(アメリカ) 習近平国家主席(中国)
まとめ
以上、
香港:アヘン戦争・一国二制度・国家安全法制(時事問題)―「中学受験+塾なし」の勉強法!
でした。
アヘン戦争(1840年~42年)
↓
1997年香港返還
↓
一国二制度(1997年~ )
↓
香港国家安全維持法(2020年6月30日施行)
という流れが理解できましたでしょうか?
もう一点、中国が香港に対してきつく当たるようになった一つの
理由は、香港のすぐ北にある深圳(しんせん)が非常に発達してき
て、香港がいらなくなってきた(なくても深圳で代替できる?)と
いう事もあるのかもしれません。
そこまで見越して深圳に投資を続けていたとしたら、中国共産党トップ
の賢さもたいしたものですが・・・。