選挙制度・選挙権の歴史―「中学受験+塾なし」の勉強法

「日本の選挙制度の歴史+選挙権・被選挙権」は【日本史】であり、

同時に【公民】でもあります。ここでは、歴史としての選挙権を

まとめますので、先に日本史をやっておいた方が理解が早いです。

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明治時代(1868年~1912年)の概略

 

選挙の4原則:普通選挙・秘密選挙・平等選挙・直接選挙

この「原則」は2021年現在の話です。

1)普通選挙:一定年齢以上の人は全て選挙権がある(納税額や性別による選挙権の差別がない)

2)秘密選挙:無記名投票(誰が誰に投票したか分からない)

3)平等選挙:1人1票。1票の価値が平等

4)直接選挙:候補者に直接投票する

 

選挙制度の歴史

日本史(現代史)の流れを一通り抑えてからの方が良いです。

【選挙権の歴史のポイント】

・選挙権の条件:年齢・性別・税金

・普通選挙(⇔制限選挙)はいつからか:1925年(大正14年)

・女性参政権はいつからか:1945年(昭和20年)

・満18歳以上の男女に参政権が与えられたのはいつからか:2016年(平成28年)

基本的には上記の表がきれいに整理されていれば大丈夫です。

1889年(明治22年):15円以上の税金・満25歳以上の男子

日本で最初の(まともな)選挙は明治時代です。

明治時代(1868年~1912年)の概略

近代的な国づくりとしての西洋化・富国強兵の一環とも言えますね。

【語呂合わせ:1881~89国会と憲法はいやくそく守ったよ】

1881年:国会開設の勅諭(10年以内に国会を開きますと天皇が言明

    (政党の成立:自由党(板垣退助)、立憲改進党(大隈重信)

1885年:内閣制度始まる:初代内閣総理大臣・伊藤博文(長州藩)、2代目黒田清隆(薩摩藩)

1889年(明治22年):大日本帝国憲法

1890年:第一回帝国議会(国会)選挙:貴族院と衆議院

 

1889年(明治22年)、大日本帝国憲法の時に決まった

選挙権のポイントは「15円以上直接国税を納めている+満25歳以上の男子」

です。全人口の1.1%しかいなかったわけですね。

1900年(明治33年):直接国税10円以上・満25歳以上の男子

日清戦争(1894~95)と日露戦争(1904~05)の間、19世紀(1801~1900年)

最後の年・明治33年に選挙法改正3が行われました。

1889年の時からの変化は、直接国税10円以上を納める(以前は15円以上)という点です。

満25歳以上の男子は変わりません。

これによって、人口比率で2.2%の人が選挙権を得ました。

それまでは大金持ちの地主中心でしたが、都市商工業者にも選挙権が広がりました。

(それでも、たったの2.2%ですけどね)

1919年(大正8年):直接国税3円以上

第一次大戦(1914~1918)後、米騒動(1918年)などもあり、

「平民宰相」原敬内閣の時に再度、選挙法改正7がされます。

1900年の選挙法改正からの変化は、

【直接国税15円→3円

満25歳以上の男子は変わりません。

これによって、人口比率で5.5%の人が選挙権を得ました。

1925年(大正14年):満25歳以上の男子(被選挙権は満30歳以上の男性)

大正時代(1912~26)、第一次護憲運動(1912年)や、第二次護憲運動(1924年)と

いった大正デモクラシー11の風潮の中で、普通選挙法9が成立します。

(ただし、ここで言う【普通選挙】は納税の資格が不要なだけで、女性参政権はまだです)

とはいえ、満25歳以上の男性全てに選挙権(被選挙権は満30歳以上の男性)が与えられ

たのは大きな変化です。これによって、人口比率で20%の人が選挙権を得ました。

平塚らいてう11(青鞜社・せいとうしゃ)や市川房江10といった人たちが、1920年に

新婦人協会11を設立し、婦人参政権獲得期成同盟界9などを結成しますが、女性参政権

は戦後の1945年を待たねばなりませんでした。

 

その後、昭和前半、日本は軍部政治に突入し1945年(昭和20年)の敗戦をむかえます。

1945年(昭和20年):満20歳以上の男女

第二次世界大戦(1939~45)に負けて、GHQ(連合国総司令部)11による占領政策11

が実施されますが、1945年12月には早くも選挙法が改正されます(新選挙法7)。

(本当の意味での)普通選挙:一定年齢以上の人は全て選挙権がある(納税額や性別に

よる選挙権の差別がない)が実現し、

満20歳以上の男女すべてに選挙権が与えられます。

選挙権は人口比率で48.7%に広がりました。20歳未満が半分以上いた若い国だったって事ですかね?

2016年(平成28年):満18歳以上の男女

戦後の1945年から半世紀以上選挙権に法的な変化はありませんでしたが、

2016年(ついこないだの平成28年)に満20歳以上が、満18歳以上に

引き下げられました。

これにより、83.3%の人に選挙権が与えられた事になります。

少子高齢化で18歳未満の子供は、全体の17%程度しかいないって事ですかね?

まずは、この表を頭に叩き込んでください。

日本史をしっていると、どのように選挙権が拡大してきたのか分かるかと思います。

ポイントは

●最初は人口の1%程度しか選挙権がなかった

●大正時代の1925年に制限選挙が撤廃された

●戦後になって初めて女性参政権が与えられた

といった辺りでしょうか。