中学受験に限らず、「勉強」と「記憶」はほぼセットになっています。
「記憶ができない」
「すぐに忘れてしまう」
「ワイはアホなのか?」
といった方がおおぜいいますが、そんなことはありません。
人間の脳のメカニズム(仕組み)はある程度科学的(誰にとっても同じ
結果になる)に分かっていて(もちろん分からない部分もたくさんあり
ます)、「こうすれば覚えやすくなる・記憶しやすくなる」という
方法はそれなりに分かっています。
基本として、
●人間は忘れる生き物だ
●人間は繰り返す事によって忘れづらくなる
この二点をまずは頭に入れておきましょう。
先に結論を書きます。
■記憶力を良くする方法■
1 繰り返す(予習)
2 語呂合わせ
3 ストーリー(手続き)
4 繰り返す(復習)
5 睡眠をきちんととる
6 結果として「短期記憶」が「長期記憶」になる
分かりやすく言えば、すぐに忘れていく「短期記憶」を、定着した
記憶・知識としての「長期記憶」に変えていくのが勉強・勉強法
という事も可能です。
非常に有名な話で
「人の短期記憶の容量は「7±2」である(個人差で±2)」
というものがあります。アメリカの心理学者ジョージ・ミラーという
人が唱えたとされています。
数字をパッと見せられて5秒程度で覚えられるのは「7±2」という
事です。
それ(忘れていく短期記憶)をどのように、長期記憶に変えていくか
それがまさに「勉強法」です。
1 繰り返す(反復):予習
これはよく知られていますが、
人間の脳は、繰り返す事によって、物事を覚えていきます。
逆に言うと、繰り返さないと、脳は「これは大事な情報ではないんだ」
と考えて、すぐに忘れてしまいます。
(再度逆に言うと)繰り返しやる(勉強する)事で、脳は「これは大事な
ことなんだ」と認識し、記憶が定着していきます。
「脳科学」という分野では、それを「維持リハーサル」「精緻化リハーサル」
と言うようです。
短期的に覚えたもの(歴史の年号やら算数の公式やら)を「精緻化」した
長期記憶にしていくには、定期的に繰り返し学習する
事が一番効率的です。
そういった意味では、「予習→授業→復習」という良く言われる
スタイルは科学的な裏付けがあるということになります。
「繰り返し」のスタート地点として「予習をする」のはとても
いい方法でしょう。
2 語呂合わせ
「語呂合わせ」は「単純な数字」や「単語」を「まとめて」しまう事で
覚えやすくしますが、これも脳科学的に実証されている有効な記憶法
です。
専門用語では「チャンキング」と言います。
794年→「鳴くよウグイス平安京」
794というただの数字の羅列を一つの言葉にまとめて(チャンク)
いますね?
理屈はこのさいどうでも良くて、大事な事は
●語呂合わせは受験勉強に極めて有効●
という事です。
もちろん、そこにストーリー的なものが入っていればなおさら
忘れづらくなります。
57年:(漢から)こんな金印もらったよ
1877年:(あの西郷どんが)いやななんと西南戦争
もちろん、ゴロアワセだけで事実の羅列を無理やり覚えようと
してもそれは非効率的です。
そこで大事なのがストーリー(物語)です。
3 ストーリー(物語):歴史、算数の解法は手続き
中学受験の場合、初めて覚える事が多いと思いますので、どうしても
最初は混乱します。
ただ、人間の脳は基本的には「ストーリー・物語」が大好きですので、
それを使わない手はありません。
「ストーリー」的な話でやりやすいのはなんといっても、社会の歴史
でしょう。
物語として日本史を見ると非常に面白いですし、そもそも、歴史はある
種の物語(history=his story)です。
例えば、
「1582(イチゴパンツ)を履いた明智光秀に本能寺で討たれた織田信長」
という語呂あわせで覚えていた「織田信長」について、ストーリー的に
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織田信長は「デストロイヤー」(破壊者)と言えます。
守護大名や、農民たちの土一揆や、長年力を持っていた仏教・僧兵や、出てき
つつあった商人(堺など)や、かろうじて生きながらえていた室町幕府(足利将軍)
などをすべて武力で叩き潰し、飲み込む魔王のような男。
おそらく、かなり合理的な性格の人物だったと思われます。
信長の49年の人生を(語呂合わせ込みで)まとめると以下のようになります。
「うつけ(バカ)と呼ばれた少年(幼名・吉法師)が、苦労して自分の国
(尾張・愛知)を統一し、奇跡的なデビューを桶狭間の戦い11(1560)で
果たし、「天下布武」 9を掲げ、一気にスターダムにのし上がり、デビュー
から20年強で天下統一するかに見えたところで、「いちごパンツ」(1582年)を
履いた家臣(明智光秀)に裏切られて、京都の本能寺で非業の死を遂げた。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
このように覚えたら、より立体的にはなりませんか?
もちろん、上記を繰り返すわけです。
算数の解法(手続き)も「ストーリー」の一種だと僕は思っています。
「このパターンが来たらこの解法」
という手続きがある程度決まっているのが中学受験の算数です。
例えば、「図を書く」というのはかなり多くの算数の問題を簡単に解くための
テクニックですが、「難しい食塩水問題」→「面積図を書く」という流れで
解法の手続きが覚えられます。
あるいは、「5×6×7×8+5×6×9+5×6×10」という計算問題が出たら、
「あ、これは分配算だな」という手続きをとるわけです。
「30×(56+9+10)」=30×75=2250
泳ぎ方、自転車のこぎ方といった「手続き記憶」は一回覚え
るとなかなか忘れない事で有名です。
一連の流れという意味で、「算数の解法パターン」というのは
「物語・手続き」として覚えてしまうと忘れないかもしれません。
「2語呂合わせ」「3ストーリー」は、少し言い方を変えると、
「関係性を作る」「イメージ化する」「手続きにする」
という事です。それによって「かたまりで覚える」ことが
できます。
4 繰り返す(復習)
「語呂合わせ」や「ストーリー」は記憶に残りやすいのは間違いありません。
ただ、やはり最強なのは「繰り返す」事です。
最初に「予習」で繰り返しをスタートし、授業で二回目の繰り返しをやり、
再度家で復習をして繰り返す。しつこくしつこく繰り返しましょう。
そうすると、だんだんと「あれ、頭に入ってきたかな」という瞬間がやって
きます。
量をこなす事で質に転化させる
というイメージです。
自分の脳と対話する
と言っても良いかもしれません。
「この辺はもう長期記憶になりましたか?」
という感じですね。
5 睡眠をきちんととる
もう一つ大事な事は「睡眠」です。
きちんと寝る事によって覚えた情報が定着する事が
分かっています。
特に寝る直前まで勉強してそのまま寝るのがいいよう
ですね。
ゲームやテレビやマンガはもちろんやってもいいのですが
(正直それは本人次第ですから)、記憶を定着させるという
意味では、寝る直前にはやめた方が良いでしょう。
ですから、一夜漬けで徹夜してそのまま試験!みたいな事は
長期記憶的には価値はまったくありません。
根性とか経験という意味では悪くないかもしれませんが・・・。
6 結果として「短期記憶」が「長期記憶」になる
以上の5点
1 繰り返す(予習)
2 語呂合わせ
3 ストーリー(手続き)
4 繰り返す(復習)
5 睡眠をきちんととる
をきちんとやる事で、結果として、すぐに忘れてしまう
「短期記憶」が忘れづらい「長期記憶」として定着していく
ことになります。
「繰り返し」が二回出ているのは、当然それくらい大事だから
です。
まとめ
■記憶力を良くする方法■
1 繰り返す(予習)
2 語呂合わせ(覚えやすい)
3 ストーリー(手続き)
4 繰り返す(復習)
5 睡眠をきちんととる
6 結果として「短期記憶」が「長期記憶」になる
勉強が良くできるようになるには、ただの丸暗記では、すぐに
忘れてしまうのであまり意味がなく、語呂合わせやストーリー(手続き)
として対象を理解し、何度も何度も何度も繰り返し、
睡眠もきちんととるという事になりそうですね。
これを地道にやれば、まず間違いなく今よりもできるようなる
はずです!なぜなら、それは「科学」(誰にとっても同じ答えになる)だから。
とはいえ・・・・・・僕の経験上、それよりも大事なのは、「本人のやる気」
だったりします。偏差値が上がるのが面白い!でも良いですし、色々な事がで
きるようになるのが楽しい、世界が広がる!何でもいいのですが、前向きに
勉強に向かえる事が何よりも重要でしょう。
なぜなら、我々は「人間」だから。