都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジが合理的でない理由

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以下の話は、受験業界には「不都合な真実」かもしれません・・・。

都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジが合理的でない理由

受験(受検:都立中高一貫の場合の表記)に限らず、マスコミは、特殊な例外を

示してさもそれが実現可能であるように煽り立てる事がありますが、現実を的確、

かつ合理的に把握することも大事です。

それこそ、都立中高一貫校の適性検査の問題はそういった能力を見ていますよね?

 

都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジはできるか?

不可能ではありませんし、挑戦することはもちろん素晴らしいと思いますが、

現実的にはかなり難しいですし、都立中高一貫校に入るのと同等か、それ

以上に困難だと思います(数字的には、確実にそうです)。

 

以下、数字でその辺りをまとめます。

都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジが合理的でない理由

令和3年・2021年の都立中高一貫校(10校)の受検者数等は以下です。

■受検者数:7124人

■合格者数:1464人

不合格者数:5660人

都立中高一貫校の受検は、落ちるのが基本です。

倍率が高すぎるわけですね。

四谷大塚の偏差値で58~65くらいのいわゆる「難関~最難関」の中学校

しかないからです(高校入試の偏差値はこれに10~15を加えてください。

高校入試ですと、68~75くらいの最難関と考えて差し支えありません)。

一方、私立中学は、偏差値の幅も学校の幅もかなりバラエティーに富んでいて、

都内の私立中学校の募集人数は、例えば、平成31年度(2019年)は、25549人

(東京都教育委員会公表)です。

1都3県の私立中学校の募集人員は40788人、2月1日午前の受験者数は37864人

(さぴあ調査)です。

私立中学受験生で、2月1日午前の受験をしない人は、ほとんどいませんので、実質倍率は

0.93倍となり、いわゆる定員割れです。

中学受験を本気でやり、どこの私立中学でも入学できればよいなら、よほどの事情がない限り、

必ず全員入学できる計算になります。

一方、都立中高一貫校は、

■受験者数:7124人

■合格者数:1464人

不合格者数:5660人

ですので、合格率は20%程度、80%の受検生が落ちます。

 

では、この8割の落ちた生徒が高校入試で、最難関の都立高校に受かる事は

可能なのでしょうか?

もちろん、個別(ミクロ)に見れば、そういったホームランをかっ飛ばす子がい

るのは間違いがないでしょう。それこそ、朝日新聞とかが好きそうなテーマですね。

でも、全体(マクロ)で見た場合、

「都立中高一貫校に不合格(落ちた)の子が、都立高校のトップ校でリベンジする」

という物語は現実的ではありません。

都立の中高一貫校の10校に偏差値・進学実績で匹敵する、あるいは、上を行く

トップの都立高校は、

西高校、日比谷高校、国立高校

の3校とされています。

(この実績を見ると、「6年間の中高一貫」に私立が振れるのが分かりますね。

立川や八王子東などは、立川国際、南多摩に優秀層を青田買いされているのでしょう)

この3校(西高校、日比谷高校、国立高校)の募集定員は約950人です。

先ほど見た、都立中高一貫校の不合格者は5660人でした。

毎年、5500人~7000人以上の不合格者が出ます。

 

そして、当然ですが、都立中高一貫校の受検をしなかった層の中で、

優秀な生徒たちがこの数に加わります。

都内の高校受験生は約60000人とされています。単純に上位10%でも、

6000人います。

重なる部分があるとしても、ざっくり10000人で950の「合格」を取り合う

というのが現実です

都立中高一貫校の受検よりもさらに倍率は高いです。

中学入試のように「落ちても公立」という受け皿がありませんので、

現実にはあきらめて最上位校を受けないのが「多数派」になります。ですので、

実際の試験倍率は低いかもしれませんが、本当の倍率はこれくらいだという事を

知っておく必要は絶対にあります。

仮に、西・日比谷・国立に、新宿高校や青山高校、立川高校、戸山高校などを加えて

も、10000人に対して定員は2000人程度ですので、都立の中高一貫校の倍率と同じ

くらいになりますね。

 

また、都立中高一貫校の受検の適性検査と都立高校の受験問題は全然違います。

都立高校の一般入試はほとんどがマークシートなので、むしろ、私立中学の入試

に近いとすらいえます。

 

そう考えると、アドバンテージも思ったほどではないわけです・・・。

 

まとめ

「都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジが合理的でない理由」

については以上です。

 

僕は塾経営者でもなければ、受験産業にもいませんので、ある程度「真実」を書きますが、

上記の話は分かっていても言わない人たちが多いでしょう・・・。

なぜなら、都立中高一貫の受検は80%が落ちるので、そのまま高校受験の塾に通って欲しい

からですね…。

 

もちろん、

「都立中高一貫校に不合格(落ちた)なら都立高校のトップ校でリベンジ」

は不可能ではありませんし、そういった「例」は確実にあるでしょう。

そして、そういった特殊な例をたくさん聞かされると思います。

ですが、現実は上記のような数字だという事を、合理的に論理的に把握してお

きましょう。

 

とはいえ、当たり前の話ですが、都立中高一貫の受検勉強をいっしょうけんめい

やることは、基本的にはその子にとってプラスになると思います。

作文力・表現力・資料読解力などは、仮に80%の側に回ったとしても、なくなる

わけではありませんから。

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