「時事問題」は中学受験の社会では必須です。
2021年2月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが起き、政権を率いる
NLD(国民民主連盟)の(実質的)トップ(国家顧問)である、アウンサンスーチー
さん(1945~)は拘束されました(2021年2月20日現在、拘束されたまま)。
【ミャンマーのクーデター構図】
NLD(国民民主連盟)のアウンサンスーチーvs国軍(軍部)
キーワードは「民主化」「アウンサンスーチー」「NLD」「国軍」
「ロヒンギャ」「ヤンゴン」「ASEAN」ですかね。
「ミャンマーで国軍のクーデター」を中学受験的の時事問題的に解説
事実を確認します。
●2021年2月1日に、ミャンマーで国軍がクーデターを起こしした
●政権(NLD・国民民主連盟)を率いていたアウンサンスーチーは拘束された
中学受験の時事問題として必要な事。
●地図上でのミャンマーの位置(地図問題)
●最大都市はヤンゴン(首都はネピドー)
●アウンサンスーチー氏の顔(写真問題)と経歴(自宅軟禁→ノーベル平和賞)
●アウンサンスーチーさんが率いる政党:NLD(国民民主連盟)
●ミャンマーの民族問題:ロヒンギャ問題
●ミャンマーはASEAN(東南アジア諸国連合)の一員であるという事実
事実関係としてはこれ位を知っておけば良いでしょう。
以下解説をします。
ミャンマーの歴史
ミャンマー(旧国名ビルマ)はもともとイギリス(大英帝国)の植民地
でした(1868年から約60年)。
その後、第二次世界大戦(太平洋戦争、あるいは大東亜戦争)が始まる
と日本軍が攻めてきて(英国は撤退し)占領します(1942~45年)。
日本や英国に対する抵抗の後、ビルマ(現・ミャンマー)として独立を
するのは1948年の事です(1948年~1989年までは「ビルマ」)。
その頃に活躍したのが、アウンサンスーチーさんの父である、アウンサン将軍
です(後に暗殺)。
独立後は内乱が続きます。
その後、軍事政権が社会主義国家を建ててそれが1960年代~80年代の
間続きます。
1988年、民主化運動が起き、故アウンサン将軍の娘で、イギリスに
留学していたアウンサンスーチーさんを書記長にNLD(国民民主連盟)が
結成されます。ですので、
アウンサンスーチーさんはミャンマー民主化の象徴
という事になります。
アウンサンスーチーさんは国軍によって長い間「自宅軟禁」されていた事で有名です。
自宅軟禁中も、軍事政権と対峙し続け、ミャンマーの民主化運動に貢献したとして、
1991年にノーベル平和賞を受賞しています。
その後、2016年に、アウンサンスーチーさんを国家顧問(大統領は別の人物)と
する、NLDの政権が発足し、ミャンマーは軍事政権から民主化された政権に
なりました。
2020年、選挙でNLDが再度圧勝し、それを恐れた国軍が2021年2月1日、
クーデターを決行し、アウンサンスーチーさんを再度自宅軟禁しました。
ロヒンギャ問題:ミャンマーの少数民族問題
「ロヒンギャ問題」とは、「民主化」の象徴であるアウンサンスーチー
さん率いるミャンマーで起きている少数民族問題・民族差別・民族迫害
の問題です。
ミャンマーはかなりの多民族国家です。
『ロヒンギャ』はミャンマーとバングラデシュの国境沿いに住む
少数民族です。
ミャンマー国民の多くは仏教徒ですが、ロヒンギャはイスラム教徒です。
その「ロヒンギャ」の人たちを、ミャンマーは差別・迫害しているのでは?
というのが「ロヒンギャ問題」のポイントです。
ミャンマーとしては「ロヒンギャ民族は(バングラデシュからの)不法移民だ」
という立場のようですね。
ノーベル平和賞をもらっているアウンサンスーチーさんが、この問題に
有効な手をうてていないのも事実なので、国際世論からは厳しい目が注がれて
います。
まあ、中学受験の時事問題としては「ミャンマーの民族問題=ロヒンギャ族」
という事だけはきちんとおさえておきましょう。
ミャンマーはASEAN(東南アジア諸国連合)の一員であるという事実
ミャンマーがまた軍事政権に戻ると、ASEAN(東南アジア諸国連合)が
困る事になります。
ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟の10カ国(Association of South‐
【シンガポール,インドネシア,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナム
ブルネイ,カンボジア,ラオス,ミャンマー】
東南アジアの主要国はすべてASEAN加盟国と思って良いです。上段の6カ国は把握
しておきましょう。なお中国は【東南アジア】ではないのでASEANには加盟していません。