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憲法(大日本帝国憲法と日本国憲法)

三権分立:司法(裁判所)・行政(内閣)・立法(国会)

裁判所(司法):種類・任命方法・違憲立法審査権・民事と刑事・裁判と人権・裁判員制度

地方自治は民主主義の学校/住民の直接請求権4つ!

「地方自治は民主主義の学校」(英の政治家・ジェームズ・ブライス)

憲法・第92条【地方自治の基本原則】

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

憲法・第94条 【地方公共団体の権能】

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、

法律の範囲内で条例を制定することができる。

以下を読んで、なぜ「地方自治は民主主義の学校」と呼ばれるのかを理解してください。

地方自治と地方自治体→都道府県や市町村

地方自治の原則→団体自治と住民自治

地方自治のしくみ→地方議会・首長・行政委員会・地方公務員

地方公共団体の仕事→警察、消防、ゴミ処理、道路の整備など

住民の直接請求権4つ!(試験頻出)→条例、監査、議会解散、首長・議員の解職(リコール)

地方自治の課題と現実:「三割自治」

 

地方自治と地方自治体:都道府県や市町村

国の政治は、

内閣(行政)のポイントはこの5つ!総理大臣・国務大臣・閣議・議院内閣制

が大枠を決定し、省庁が実際に動かしていくイメージですが、都道府県や市町村

など、より身近な政治を「地方自治」と言います。

その、都道府県や市町村の事を「地方公共団体(地方自治体)」と言います。

ん?都道府県や市町村?あれ、「東京23区は?新宿区は?」と思った方、するどいですね。

「東京23区」は「特別区」で、「特別地方公共団体」とされています。

・広域地方公共団体:都道府県

・基礎地方公共団体:市町村

・特別地方公共団体:東京23区

(都道府県と市町村は「普通地方公共団体」とする分け方もあります)

地方自治の原則:団体自治と住民自治

憲法・第92条【地方自治の基本原則】

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

憲法で言う「地方自治の本旨(ほんし)」とは、地方自治法(1947年)に定められました。

具体的には「(国からある程度自立した)団体自治」と「住民自治」です。

都道府県や市町村はそれぞれ、ある程度国から自立していますよね?

 

地方自治のしくみ:地方議会・首長・行政委員会・地方公務員

地方議会:都議会、市議会、区議会など

首長:都道府県知事、市長、町長、村長など

国で言うと、地方議会→「国会」(立法)で、首長→「内閣」(行政)ですね。

ん?司法にあたる裁判所は?と思った方、するどいですね。

「憲法76条1項

「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」」

裁判所(司法):種類・任命方法・違憲立法審査権・民事と刑事・裁判と人権・裁判員制度

司法権は憲法上、最高裁判所と下級裁判所(高裁、地裁、家裁、簡裁)しか持てません。

ですので、地方公共団体には司法に相当する機関はありません

地方議会:都道府県議会と市町村議会/条例を作る

・(地方議会は)一院制

・選挙権は国会議員の選挙と同じ:満18歳以上の男女

被選挙権は満25歳以上

・任期4年

条例その地方公共団体だけで通用する決まり)を作るのが仕事

第94条 【地方公共団体の権能】

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、

法律の範囲内で条例を制定することができる。

首長:都道府県知事や市町村長と補助機関

・首長の任期は4年

被選挙権:都道府県知事満30歳以上、市町村長満25歳以上

・(都道府県)副知事、(市町村)助役、その下に地方公務員

・行政委員会:教育委員会や公安委員会など

内閣総理大臣は国会議員の中から、国会が指名しましたよね?それと違い、

自治体の首長は住民の選挙で選ばれます

内閣(行政)のポイントはこの5つ!総理大臣・国務大臣・閣議・議院内閣制

地方公共団体の仕事:警察、消防、ゴミ処理、道路の整備など

地方公共団体の仕事:警察、消防、ゴミ処理、道路の整備、

上下水道の整備、学校の設置・管理・運営などなど。

身近なものは「地方公共団体の仕事」である事が多いですが、

逆に身近だけれど、地方公共団体の仕事でないものを知っておきましょう。

・裁判(国の仕事。憲法に規定)、外交や防衛

・郵便(2007年から民営化)

・電機やガス(民間の会社。東京電力とか東京ガスは営利企業)

住民の直接請求権4つ!(試験頻出)

地方公共団体の住民は、以下の4点について署名を集める事で直接政治に参加できます。

直接民主主義的ですね。その事を「直接請求権」と言います。

条例の制定・改廃の請求:有権者の50分の一以上:首長に請求

監査の請求:有権者の50分の一以上:監査委員に請求

議会の解散の請求:有権者の3分の一以上:選挙管理委員会に請求

首長・議員の解職請求(リコール):有権者の3分の一以上:選挙管理委員会に請求

*50分の1、3分の一は請求に必要な署名数です

必要な署名数の違いは「選挙を経ているかどうか」です。

請求がされると住民投票が行われる事があります。

議会の解散の請求・首長・議員の解職請求(リコール)

の場合です。

実際に、2010年には、鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)の

リコール(解職請求)の是非を問う住民投票が行われ、賛成票が有効

投票の過半数を占めリコールが成立、竹原市長は失職しました。

第95条 【特別法の住民投票】

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、 その

地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これ

を制定することができない。

地方自治の課題と現実:「三割自治」

「地方分権」というのは最近よく聞く言葉ですね?そうでもない?

逆に言うと、「中央集権」(国が強い)が行き過ぎって事です。

明治維新のときに廃藩置県(1871年・明治4年)をして以来、日本は

ずっと中央集権国家です。

大日本帝国憲法(1889年)では、知事は政府が任命していました。地方自治

なんてなかったわけです。

その後、戦後になり日本国憲法(1946年公布)のものと地方自治法ができて、

地方公共団体が地方の政治を行っています。

憲法(大日本帝国憲法と日本国憲法)

ただ、地方自治の課題と現実には以下のような点があります。

・国からやらされる仕事が多い

・「三割自治」:財政面で国に依存している→地方交付税交付金

「地方交付税交付金」:国から支給される。地方自治体ごとの収入差をうめるため

そういった事から、「地方分権」というのは一つのテーマになっています。

その一環として、多くの市町村の合併が平成の頃に行われ、「平成の大合併」

と言われています。また(まだ行われていませんが)都道府県を再編成する

「道州制」という話しもでてきています。

 

まとめ

国政(衆議院議員選挙や参議院議員選挙や、内閣やら)に比べて、地方自治

関係は、かなり身近です。

また、具体的言うと、市町村レベルの地方議会の選挙であれば、本当に

10票単位で当落が決まる事もあります。

直接請求権も、「有権者の50分の1」であれば署名を集める事も

可能な気がしますよね?

どうでしょう、「地方自治」について学ぶと、

「地方自治は民主主義の学校」(英の政治家・ジェームズ・ブライス)

という言葉が何となく分かってきませんか?

え?小学生では実感がない?そうかもしれませんね。

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三権分立:司法(裁判所)・行政(内閣)・立法(国会)

裁判所(司法):種類・任命方法・違憲立法審査権・民事と刑事・裁判と人権・裁判員制度

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