明治の文化(文化史):思想・お雇い外国人・宗教・教育・文学―「中学受験+塾なし」の勉強法!

文化史(日本史)の概略・まとめ①(飛鳥時代~室町時代)

室町時代(1336年~1573年)の文化

桃山文化:信長・秀吉。豪華・戦国時代の天下人たち!千利休

江戸時代(1603~1867)の文化(元禄文化→化政文化)

文化史(日本史)の概略・まとめ②(桃山文化・江戸の文化・明治の文化・大正と昭和前期の文化・戦後の文化・現代の文化)

明治時代(1868年~1912年)の概略

明治時代の前半:1868~1877・戊辰戦争から西南戦争まで(応用編)

明治時代②中盤(1870年代~1890年):自由民権運動→国会開設の勅諭・内閣・大日本帝国憲法

明治時代③後半:日清戦争(1894~95)・日露戦争(1904・05)・日韓併合(1910)

明治の文化(文化史):思想・お雇い外国人・宗教・教育・文学 この記事

 

大前提!日本史は「明治以前(仏教+中国)」と「明治以後(西洋化+文明化(科学)」

大前提として、日本史は「明治以前(仏教+中国)」と「明治以後(西洋化+文明化(科学)」

に分けて考える事ができると思います。

幕末までの時代は、それこそ卑弥呼の頃から、中国を目標とした国だったといえます。

そのため、中国~朝鮮経由で来た仏教が極めて大事でした(江戸時代は儒教の朱子学)

明治以降は、それが一気に変わり、欧米を目指し、西洋化・文明化(科学化)していきました。

「明治の文化」を学んでいく際にはそういった歴史観が大事です。

 

明治と言えば、西洋化・文明開化

●西洋化・文明開化ざんぎり頭9、ガス灯11、牛鍋7、レンガ造り(銀座)11、人力車11、鉄道馬車7

●「文明開化の7つ道具」:新聞・郵便・ガス灯・蒸気船・陸蒸気・軽気球・写真絵

欧米列強に追いつき追い越せの明治時代は、近代化・西洋化が急務でしたので、

文化も一気に変わります。

ちょんまげ→ざんぎり頭9 「ざんぎり頭を叩いてみれば文明開化の音がする」 

和服→洋服(背広)、シルクハット、こうもりがさ、洋食、ビールetc.

要するに、生活・文化全般が欧米化していったという事です。

 

明治~大正の思想の流れ

★明治初期:啓蒙思想(欧米の思想が本格的に流入)

★明治20年代(1880~90):国家主義(国益重視)/平民主義・国粋保存主義

★明治30年代(1890~1900):国家主義・産業革命に対する疑問→社会主義の台頭

★大正時代(1912~26):大正デモクラシー(民本主義、天皇機関説)

 

思想:国家主義vs平民主義(徳富蘇峰)+イギリス功利主義とフランス自由主義

国家主義vs平民主義(徳富蘇峰)

欧米に追いつくために、国家が先というのが国家主義9(国権論)で、

まずは平民の欧米化が先といったのが平民主義9(徳富蘇峰が有名)。

徳富蘇峰(とくとみそほう)11:1863~1957

徳富蘇峰 - Wikipedia

同志社で学ぶ。民友社10(機関紙が「国民之友」10)を創立。

鹿鳴館外交なんて真の欧化とちゃう!平民の欧米化が大事や!平民主義や!

弟が小説家の徳富蘆花(ろか)6。

こういった欧米化の流れに対して、「日本の伝統はどうなる!」といったのが

国粋主義8です。1888年(明治21年)に、三宅雪嶺(せつれい)11等が政教社11

を作り、「日本人」10という雑誌を作ります。

啓蒙思想:イギリス功利主義とフランス自由主義

啓蒙思想6:蒙(もう)を啓(ひら)く。個人の自覚を高めるために教えてやるといったイメージ。

啓蒙思想の具体的なものとして、英功利主義と仏自由主義というものが入ってきます。

【明治時代に入ってきた欧米の啓蒙思想】

★イギリス功利主義(ミル、スペンサー、ベンサム)

明六社10「明六雑誌」8(森有礼10、福沢諭吉11、加藤弘之8→立憲改進党)

★フランス自由主義(ルソー、モンテスキュー)

中江兆民→自由党 天賦人権思想8

新聞・ジャーナリズム(雑誌)

「文明開化の7つ道具」のひとつでもある「新聞」は明治以降大事な文化となります。

・大新聞5(一面だけ)→小新聞7(今の新聞に近い)

【明治時代の主な『新聞』】

横浜毎日新聞10:日本最初の日刊紙(1870年・明治3年)

「日新真事誌」9:英人が創刊。1874年板垣退助等の「民撰議院設立建白書」が載った

『万朝報』(よろずちょうほう)10:1890年・明治23年。明治最大の新聞

(日露戦争前に、幸徳秋水等が非戦論を書いたものの、社主・黒岩涙香が主戦論に変更)

時事新報6:1882年・明治15年、福沢諭吉が創刊。「脱亜論」

・読売新聞4:東京で創刊。小新聞の元祖

・朝日新聞2:大坂で創刊

福沢諭吉(1834~1901)

福澤諭吉 - Wikipedia

豊前中津藩士(今の大分県)。啓蒙思想家。

大坂の適塾で緒方洪庵に学ぶ。欧米を3回も視察。

・1860年咸臨丸で勝海舟等と渡米

・1868年(明治元年)慶応義塾を創設

・名六社に参加

『時事新報』創刊→「脱亜論」で有名。

『西洋事情』7『学問のすゝめ』11『文明論之概略』7

*福沢諭吉は幕末から~明治中期の人です。

上記した点くらいで大丈夫ですが、幕末に咸臨丸でアメリカに渡っています。

また、『時事新報』という新聞を作った事、『西洋事情』や『文明論之概略』

など『学問のすゝめ』以外の著作を知っておきましょう。

【明治時代の主な雑誌】

「明六雑誌」:明六社が発行

「ホトトギス」8:高浜虚子6が主宰。正岡子規11。『吾輩は猫である』(夏目漱石)が載った

「文学界」9:北村透谷10が創刊。樋口一葉、島崎藤村の作品などを掲載。

「青鞜」:平塚雷鳥(らいてふ・らいちょう)11

「明星」7:与謝野鉄幹6・与謝野晶子11夫妻。「君死にたまふことなかれ」

「白樺」8:武者小路実篤ら白樺派の雑誌。大正時代の主流

 

お雇い外国人

明治時代、欧米化・文明化するために、多くの外国人教師5を高給で呼んで

科学的な教えをうけました。「お雇い外国人」(御雇外国人)8と呼ばれました。

【明治時代の主なお雇い外国人】

フェノロサ(米)11:岡倉天心11と東京美術学校11を設立

コンドル(英)9:鹿鳴館、ニコライ堂11(東京の神田)を設計

クラーク(米)5:札幌農学校(後の北大)。Boys be ambitious!「少年よ大志を抱け!」

ナウマン(独)4:フォッサ=マグナを指摘。ナウマン象の名前の由来

モース(米)6:大森貝塚。ダーウィンの進化論を教える

ブリューナ(仏)2:富岡製糸場で指導。フランスの技術だった事が大事

 

明治時代の宗教:神仏分離令→廃仏毀釈

仏教の流れ(中学受験日本史):奈良~昭和!宗派・覚え方

【明治時代の宗教:神仏分離令(1868年・明治元年)→廃仏毀釈】

1868年(明治元年):神仏分離令11

1870年(明治3年):大教宣布の詔(たいきょうせんぷのみことのり)9(神道国教化8への流れ)

1873年(明治6年):祝祭日9→紀元節10(2月11日)、天長節(天皇誕生日)9

幕末から、明治維新期には、天皇を敬い、外国を排除するという、

「尊皇攘夷」という流れがありましたね?そのため、維新の志士たちに、

「復古神道」が非常に支持されます。

そして、明治時代には、神道国教化運動が起こります(国教化はされてません)

では、明治時代に仏教はどうなった?

明治時代は、「近代国家」を作るために、ナショナリズムを利用しました

ので、「日本=神の国=神道国家」を目指しました。

ですので、仏教は、最初は排斥されます神仏分離令8、廃仏毀釈

(はいぶつきしゃく)8といって、お寺や仏教が排斥されました。

明治時代の頃には、『古事記』はいわばキリスト教徒にとっての新約聖書の

ように、歴史の事実として教えられていました。

ただ、あまりにも「神仏習合」の時間が長かったためか、あるいは神道国教化

がうまくいかなかったためか、完全には仏教は排斥されず、地道に残って

いく事になりました。

キリスト教はというと、五傍の掲示(1868年)11で禁止されましたが、

浦上信徒弾圧事件8が長崎で起こり、欧米から圧力がかけられ、五傍の掲示

からキリスト教禁止部分が削除されました(1873年・キリシタン禁制高札廃止10)

その結果、プロテスタントを中心に、布教が始まり、多くのキリスト教徒がうまれ

てきます。

 

明治時代の教育:学制(1872年)→教育勅語(1890年)

【明治時代の教育の流れ】

1871年(明治4年):文部省10設置

1872年(明治5年):学制11(フランス風・実学主義・国民皆学)

1877年(明治10年):東京大学9(東京開成学校+東京医学校)→1886年に東京帝国大学

1879年(明治12年):教育令10(アメリカ式学制・自由教育制度)→失敗

1886年(明治19年):学校令10(森有礼。小学校令、中学校令、師範学校令、帝国大学令)

1890年(明治23年):教育勅語11

学制に始まる義務教育制9は以下です。

・1872年の学制:義務教育の方針が出る

・1879年の教育令:期限16ヶ月

・1886年の学校令:3~4年

(戦後の1947年に教育基本法で現在の9年になる)

また、1886年の学校令から国定教科書制度10が始まる。

 

【明治にできた「私立大学」】

慶応義塾(慶応大学)11:1868年、福沢諭吉

同志社8or同志社英学校(同志社大学):1875年、新島襄10が京都で

学習院2(学習院大学):1877年。京都の公家の学校だった。

専修学校1(専修大学):1880年。

東京法学社2(法政大学):1880年。西園寺公望、ボアソナードらが尽力。

明治法律学校3(明治大学):1881年。

東京専門学校10(早稲田大学):1882年。大隈重信。明治14年の政変で追われた後設立。在野の精神。

英吉利法律学校2(中央大学):1885年。

女子英学塾8(津田塾大学):1900年。津田梅子11

 

明治時代の自然科学研究者

【明治時代の自然科学研究者】

北里柴三郎8:独でコッホに細菌学を学ぶ。破傷風、ペスト菌。伝染病研究所。2024年から千円札

志賀潔7:赤痢菌7。

高峰譲吉8:アドレナリン7の発見。タカジアスターゼ7を創製。米で活躍

鈴木梅太郎7:脚気(かっけ)に予防に有効なオリザニン(ビタミンB1)を抽出。

木村栄(ひさし)8:物理学者。Z項8(地球の自転軸の話…)を発見

長岡半太郎7:原子構造の研究7

北里柴三郎 - Wikipedia

北里柴三郎

明治時代の人文科学研究者

【明治時代の人文科学研究者】

西周(にしあまね)9:啓蒙思想家で西洋哲学を日本に紹介。明六社に参加

加藤弘之8:啓蒙思想家。東大初代総理→東京帝国大学総長

久米邦武9:岩倉使節団についていき『米欧回覧実記』を編集。「神道は祭天の古俗」

 

明治時代の文学

言文一致体10:話し言葉に近い文章にする(それまで文語体(文章用の言葉))

       坪内逍遥(しょうよう)11、二葉亭四迷11、山田美妙7、尾崎紅葉10

★写実主義→ロマン主義→自然主義→反自然主義(余裕派)★

写実主義10:明治20年前後。現実・心情をあるがままに描く。近代文学の出発】

坪内逍遥(1859~1935):言文一致。「早稲田文学」創刊。「小説神髄」11「当世書生気質」2

二葉亭四迷(1864~1909):言文一致。露文学の翻訳。「浮雲」11(近代小説の祖とされる)

山田美妙(1868~1910):言文一致。「夏木立」4

尾崎紅葉(1867~1903):言文一致。硯友社(けんゆうしゃ)8設立。「金色夜叉」(こんじきやしゃ)7

【理想主義】

★幸田露伴9(1867~1947):『五重塔』8。「突貫紀行」もええで!「紅露時代」と言われた。

ロマン主義11:感情・恋愛・自我(個性)/江戸的な封建制からの開放!】日清~日露頃

樋口一葉(1872~96)10:「たけくらべ」8「ひごりえ」4。「文学界」に発表

北村透谷(とうこく・1868~94)10:「文学界」9を創刊。27歳で自殺。

島崎藤村(1872~1943)11:「文学界」創刊に参加。「若菜集」10「破戒」「夜明け前」

(島崎藤村はロマン主義→自然主義)

★与謝野鉄幹6・与謝野晶子11。「君死にたまふことなかれ」「みだれ髪」。雑誌「明星」

*森鴎外は「舞姫」8はロマン主義的とされています

自然主義10:「小説家の赤裸々な(恥ずかしい)日常をありのままにさらけ出す私小説」】

島崎藤村の『破戒』と田山花袋(かたい)9の『布団』7が自然主義文学の代表

国木田独歩(1871~1908)7:「武蔵野」5「牛肉と馬鈴薯」3

【反自然主義(余裕派・知性派)】

夏目漱石(1867~1916):東京帝大で英文学を学ぶ。松山中学、熊本の五高

で教える。ロンドンに留学。東京帝大講師をやめて朝日新聞社員として小説家

となる。明治人の象徴の一人(近代と前近代のはざまでいきた)。

正岡子規、高浜虚子とは友人。弟子が多数いた。

「吾輩は猫である」7:雑誌「ホトトギス」に連載。

●「坊っちゃん」「草枕」「それから」「こころ」「門」etc.

森鷗外11(1862~1922):島根の生まれ。東京帝大医学部卒。

軍医総監。ドイツに留学(「舞姫」事件)。小説、翻訳、評論。

●「舞姫」「即興詩人」(アンデルセンの原作を翻訳)

 「阿部一族」「渋江抽斎」(ちゅうさい)「高瀬舟」

■森鷗外の墓は、出身地である、島根県津和野と東京都三鷹市の

禅林寺にあります。禅林寺には太宰治の墓もあります。

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石川啄木(1886~1912)9:岩手県出身。貧困の天才詩人。

「一握の砂」(いちあくのすな)6「悲しき玩具」3

*啄木は生活に困り、社会主義に近づいて行ったので、自然主義に分類される事も

正岡子規11(1867~1902):俳人。松山生まれ。漱石の友人。

「ホトトギス」で活躍し、俳句革新運動11を起こす。

「柿くえば 鐘がなるなり 法隆寺」

「いくたびも 雪の深さを 尋ねけり」

高浜虚子(1874~1959)6:俳人。「ホトトギス」を主宰。

坪内逍遥 - Wikipedia二葉亭四迷 - Wikipedia尾崎紅葉 - Wikipedia

坪内逍遥           二葉亭四迷          尾崎紅葉

 

文化史(日本史)の概略・まとめ①(飛鳥時代~室町時代)

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明治時代②中盤(1870年代~1890年):自由民権運動→国会開設の勅諭・内閣・大日本帝国憲法

明治時代③後半:日清戦争(1894~95)・日露戦争(1904・05)・日韓併合(1910)

明治の文化(文化史):思想・お雇い外国人・宗教・教育・文学